『背伸びの靴』

 新しい靴。
 ピカピカの靴。
 
 街に出掛ける、電車の中。
 思わず吊り革に捕まり立つ。
 
 電車を降りて、ショッピング。
 カッカッと音をさせて歩く。
 
 みんなの視線が気になるのは新しい靴を履いてるから?
 違う、似合わない靴を背伸びして履いてるから。
 
 自分に合うと買った靴は、ぶかぶかで歩く度に音を立てて歩く。
 へんな緊張や気の使いすぎで、肩も足も痛くなってきた。
 

 今の自分を物語に当て嵌めるならば、ガラスの靴を差し出され、
      「足のぴったりな人を探してます」
と言われ、無理して
     「ぴったり」
と言って靴を受け取ったサブキャラのような気持ち。
 きっと後で
     「君は誰?」
と王子様に言われ、靴を返すんだろうな。


 騙し続けるのもありだけど、きっと今以上に痛い思いをして耐えられないのが目に見えてるから。
 こうやって足を引きずり、辛そうに歩くのは止めよう。
 背伸びの靴も気持ちも。

 今の自分にぴったりの、等身大でいけるような靴はどこかしら?
 いつかは褒めて、好きになってくれる人が現れると信じて。



    浅葱 あみ    原案  06/02/22
   UP06/06/25


  合同誌 Who? 第四号  2006/05   お題提供 浅葱 あみ お題 『靴』より