『蝶々結び』

 靴紐がほどけた。

 あたしは、立ち止まって結び直す。
 再び歩き出すと、今度は反対がほどけ出す。

 まるで未来のあたしを示すよう。

 分かっているよ、本当は叶わないことくらい。
 結んでもほどける靴紐のように、恋も友情もいつかは上手くいかなくなる。
 恋も友情も取りたい状態じゃ、神様は許してくれないこと。

 右が恋なら左が友。
 片方ずつほどける靴紐が神様からの伝言。

 それでも二重に結んだり、靴の中に紐先を入れないのは束縛はしたくないから。
 靴だって、本当は変え時だったりする。
 でもこうして履き続けるスニーカーは、今のあたしにとって愛着があるから。
 あなたを人としても好きだって、はっきりと分かるように愛着があるから。
 どんな結果が待っていても、嫌いになることはないから。
 別の靴に履き変えることになっても、あたしがあなたを好きなことには変わらないから。
 

 もう少しだけ曖昧なあたしに時間を下さい。
 靴紐がすぐほどけなくなるくらい落ち着いたら、この靴履いて自分の足で会いに行くから。
 あたしの気持ちがあなた(花)に届くように、靴紐は蝶々結びにしてね。
 
  浅葱 あみ      原案 06/03/21  UP06/06/25


合同誌 Who? 第四号  2006/05   お題提供 浅葱 あみ お題 『靴』より